土佐硯とは

銘石「土佐端渓」高知県伝統的特産品

応仁の乱(室町時代1467年)に関白一条教房公が京より戦乱をのがれ、一条家領のあった土佐国幡多荘、現在の土佐四万十市(旧中村市)に下向、土佐一条家を起こし、後に土佐の小京都と呼ばれる文化都市を築きました。 文才があり能書家であった一条公は、この地で良質の硯石をみつけ永く愛用したと文献に記されてありました。
時経て昭和41年、高知の書家、新谷健吉氏(故人)によってこの三原村源谷地区で高品質の原石が再発見されました。

金星・銀星がみられ蒼黒色系の柔らかい肌ざわりで、中国名硯端渓硯にも劣らぬ硯石と書家の間では好評を得ています。「日本でも最高級」と折り紙をつけて頂きました。

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製作所 三原硯石加工生産組合
原産地 高知県幡多郡三原村下切源谷伊崎畑山
石 質 約6千万年前の中世代白亜紀須崎層の黒色粘土岩。
金星・銀星が見られ、鋒鋩は密林して磨墨に優れ、溌墨も佳良。
墨の下り具合は程良くかつ速やかで細かく、麗しい墨色が得られる。石の持つ穏やかな黒色には親しみが感じられる。

土佐硯は約六千万年前の中世代白亜紀須崎層の黒色粘板岩で青黒く、金星・銀星が見られます。
硯石の表面は、拡大すると写真のような小さな結晶状の輝点が多く見られます。
一般的な硯石にも同様な粒子は存在しますが、土佐硯に現れる金星・銀星は中国二大名硯と言われる「端渓硯」「歙州硯」にも匹敵すると言われ、土佐端渓の呼び名はこの石質に由来しています。
自然な風合と墨の発色には定評があり、運筆の微妙な変かも表現できると愛硯(あいけん)家の間では書道硯「日本一」とまで称賛されることもある名品です。

土佐端渓硯は、現在豊富に採掘されている硯石の最高級品との評価を得ていますが、これまで他産地の和硯と比べると知名度はさほど高くありませんでした。
これは近年再発見されるまで長く幻の硯石とされ、一般には知られていなかったからですが、実際にお使いになる方が増えるに従い益々評価が高まっております。
是非、多くの皆様にもお使い頂き、土佐硯の品質の高さをお知り頂ければと存じます。

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技術の継承

職人から職人へ、継がれてゆく製造技術


伝統工芸「土佐硯」の製造技術が若手の後継者に受け継がれています。
多くの分野で後継者不足に悩む昨今、特に一朝一夕に一人前になれない職人の世界は厳しい状況です。
三原硯石加工生産組合の硯製作者も最盛期の25人から数名に減少していました。
土佐硯の伝統が途絶えてしまう危機を迎えましたが、自治体などの取り組みの結果、その門戸をたたく若い世代が現れ、この伝統を継承していこうと日々研鑽に励んでいます。

「墨をすり、書きたくなる硯を作っていきたい」

伝統技術を引き継ぐ責任の重さも感じながら、前向きに努力精進する姿が頼もしいです。

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制作過程

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1.原石の切断

原石から硯の型を取り、大型の切断機で型に従って原石を切断していきます。
研磨機を使用して、切断された原石を平らにします。海砂を入れながら、ゆがみのない完全に平らな型にしていきます。

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2.粗彫り

硯の墨堂、海の型を描き、更に電動工具などを使って粗彫りをします。
職人によって、様々な粗彫りの方法があります。

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3.ノミ彫り

様々なノミを使って硯の墨堂、墨海、硯縁を彫っていきます。

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4.磨き

数種類の砥石や耐水研磨紙で、磨き上げていきます。青みがかった黒色がより際立ち、滑らかで艶のある石肌が現れます。